「匿名性とセキュリティを高めてインターネットを利用したい」
そんなときに役立つのが、NordVPNが提供する”Onion Over VPN（オニオン オーバー VPN）”という機能です。
政府からの監視や検閲を回避したり、どうしても漏えいしてはいけない情報を取り扱うときに活用すべき機能となります。
この記事では、NordVPNが提供するOnion Over VPNについて詳しく解説していきます。
目次
NordVPNのOnion Over VPNとは
Onion Over VPNとは、インターネット通信のセキュリティとプライバシーを高める機能をいいます。
NordVPNアプリでOnion Over VPNサーバーに接続するだけで利用可能です。
対応デバイス
NordVPNのOnion Over VPNは、次のデバイスにNordVPNアプリをインストールすることで利用可能です。
| 対応デバイス | ・パソコン（Windows、Mac、Linux、） ・タブレット（iPad、Android） ・スマートフォン（iPhone、Android） |
選択できる国
NordVPNのOnion Over VPNでは、次の国を選択できます。
| 選択できる国 | オランダ、スイス |
Onion Over VPNの仕組み
Onion Over VPNの仕組みについて解説していきます。
Onion Over VPNは、
- VPNによる暗号化
- Torによる暗号化
という２ステップによりインターネット通信のセキュリティとプライバシーを高める仕組みになっています。
VPNによる暗号化
VPN（Virtual Private Network）とは、一般的なインターネット回線に仮想の専用線を構築してセキュリティを高める技術です。
具体的には、デバイス（パソコンやスマホなど）と受信者との間に特殊な通信経路である”VPNトンネル”を構築します。
これにより本来ならインターネットで利用できないプライベートIPアドレスによる通信が可能になり、外からデータを見えないようにします。
しかし、ハッカーなどによりトンネル内に侵入される可能性はあります。
それに備えてトンネル内のデータ（パケット）は、
- VPNプロトコルによる暗号化
- 新しいヘッダ（宛先、送信元など）の追加
によるカプセル化が行われます。
特にNordVPNは、米国家安全保障局（NSA）でも推奨されている「AES-256」を採用。
スーパーコンピューターを用いても解読には数兆年を要することから、突破はほぼ不可能と言えます。
Torによる暗号化
Tor（The Onion Router）とは、インターネット通信時に複数のコンピューターを経由することで匿名性を高めるオープンソースのソフトウェアです。
具体的には、
- 入口ノード（エントリーノード）
- 中間ノード
- 出口ノード
と呼ばれる３つのノード（コンピューター・サーバー）を経由してWebサイトにアクセスします。
これらのノードは、世界中にいるボランティアが運営しており、Torの使用時にランダムで選ばれます。
ただ、これだけでは送信元（IPアドレス）が丸わかりです。
そこで、ユーザーが送信したデータは、それぞれの地点で複数回の暗号化を行ってセキュリティを高めています。
Torは、複数のノードを経由することで追跡を回避できます。
ただし、
- 入口ノード
- 出口ノード
において問題点があります。
入口ノードでは、データの送信先は分かりませんが、送信元（IPアドレス）を知ることが可能です。
出口ノードでは、Torの暗号化が解除されることから、HTTPSで暗号化されていないとデータの内容が読み取られます。
特にハッカーに出口ノードが乗っ取られている場合は、機密情報が流出する恐れがあります。
そのような脆弱性を回避するためにVPNとの併用をおすすめします。
データを”玉ねぎ”のように複数の層の暗号化で覆うことから「オニオンルーター」と呼ばれています。
なお、Torの仕組みは、政府や企業の内部告発をまとめたウィキリークスでも活用されました。
Onion Over VPNを利用するメリット
NordVPNが提供するOnion Over VPNを利用するメリットを解説していきます。
まず、Onion Over VPNの大きな役割としては、インターネットのセキュリティとプライバシーを強固に高める点があげられます。
特に
- 内部告発者
- ジャーナリストや政治活動家
- サイバー攻撃に狙われやすい機密情報の取り扱い
- 独裁国家に滞在中でVPNやTorの使用を隠したい
などでおすすめとなります。
Onion Over VPNとダブルVPNの比較
Onion Over VPNと似たような機能にダブルVPNがあります。
２つの機能の大きな違いは、プライバシー（匿名性）の強さです。
ダブルVPNは、２つのVPNサーバーを経由することで匿名性を高めますが、送信元（IPアドレス）はVPNサービスによって管理されます。
一方、Onion Over VPNは、送信元は複数のコンピューターの経由によって隠されることから、よりプライバシーが高くなります。
まとめると次のとおりです。
| Onion Over VPN | ダブルVPN | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 匿名性と検閲回避 | セキュリティとプライバシー保護 |
| 仕組み | VPNサーバー → Torネットワーク （VPNサーバーで暗号化してからTor・ネットワークで匿名化） | VPNサーバー１ → VPNサーバー２ （２つのVPNサーバーで暗号化） |
| セキュリティ （安全性） | ◯ | ◎ |
| プライバシー （匿名性） | ◎ | △ |
| 速度 | △ | ◯ |
NordVPNにおいては、ユーザーのオンライン活動のログを残さない”ノーログポリシー“を遵守しています。
そのため、ダブルVPNにおいても匿名性は高いと言えます。
NordVPNは、P2Pサーバーも提供しています。
こちらは、トレントや大容量ファイルの転送に適したサーバーであり、高速通信が可能です。
NordVPNでOnion Over VPNを利用する方法
ここからは、NordVPNでOnion Over VPNを利用する方法について解説していきます。
パソコン（Windows、Mac）
パソコンでOnion Over VPNを利用する手続きです。
最速のOnion Over VPNに接続する
NordVPNアプリを起動してから「その他の接続オプション」→「特殊サーバー」の順にクリックします。
特殊サーバーの項目が開くので「Onion Over VPN」をクリックすると最速のOnion Over VPNに自動接続されます。
国を選んでOnion Over VPNに接続する
Onion Over VPNは、国を選ぶことも可能です。
Onion Over VPNの項目にある「・・・」をクリックします。
ここで「最速のサーバー」をクリックするとOnion Over VPN接続ができる国一覧が表示されるので選択しましょう。
スマートフォン（iPhone、Android）
スマートフォンでOnion Over VPNを利用する手続きです。
最速のOnion Over VPNに接続する
スマートフォンでNordVPNアプリを起動してから「特殊サーバー」をタップします。
特殊サーバー一覧が表示されるので「Onion Over VPN」をタップすれば、最速のダブルVPNに接続されます。
国を選んでダブルVPNに接続する
スマートフォンでも国を選んでOnion Over VPNを接続できます。
Onion Over VPNの右横にある「・・・」をタップします。
国一覧が表示されるので接続したいOnion Over VPNを選択しましょう。
最後に
今回は、NordVPNが提供するOnion Over VPNについて解説しました。
NordVPNでは、VPN接続によりインターネット通信を暗号化してセキュリティを高められます。
それに加えて、Onion Over VPNを活用することでTorによる匿名性の向上を図ることが可能です。
VPNは、別拠点や外出先から社内ネットワークにアクセスしたり、フリーWi-Fiを安全に利用するなど、セキュリティを向上させたいときに広く利用されています。